当研究室が日々行っている研究をご紹介します.
構造材料工学研究室は,コンクリート構造物を構成する材料そのものの特性ならびに部材としての特性を中心に,現在の技術に変革をもたらす可能性のあるテーマを研究テーマとして取り上げ,主にセメント化学,コンクリート工学,鉄筋コンクリート構造,プレストレストコンクリート構造ならびにコンクリート舗装に関する研究を実施しています.これによって,研究の成果が現在のコンクリート技術に新しい考え方を創生することを目標としています.
研究は実験事実または工学的事象の解明に基づくことを基本とし,理論はこれらの事実に基づいて構築することを旨としています.実験事実の解明にあたっては,工学的に有用な情報を得ると同時に,現象を物理的,化学的または物理化学的に正しく把握することに努め,そのために必要な場合には,境界領域分野あるいは異分野に属するような実験を実施するとともに,その分野の研究者から助言や協力を得ることを積極的に行います.したがって実験では,マクロな観測ばかりでなく微視的視点でユニットプロセスを追求することにも心掛けています.
研究テーマは,いずれも社会基盤を形成するコンクリート構造物の建設・維持・補修の観点から早急に解明が要求されている課題であり,社会の要請を学問的な面からのみならず,実務的な面からも多くの研究の中に取り入れていくことに努めています.その過程では,国及び企業からの委託研究や共同研究を実施し,企業側との協調体制の下での研究の推進も図っています.これは,独りよがりになりがちなテーマの選定を実用性で裏づけるばかりでなく,国の施策や企業を通じて研究成果をより早く社会に還元することにもつながると考えるからです.
1.超高強度鉄筋コンクリートはりのせん断強度評価に関する研究
超高強度コンクリート(UHSC)は自己収縮が大きく,また脆性的な破壊をするため,それを用いたRCのせん断強度は収縮と寸法(断面高さ)の影響を大きくうけますが,その機構は未解明です.本研究は,実大寸法(有効高さ1m)のRCはりの載荷実験によるせん断強度の解明と自己収縮,クリープ,破壊エネルギーを取り入れたせん断強度の非線形解析(3次元有限要素法)の開発を目的としています.
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2.超高強度膨張コンクリートのひび割れ制御効果とその予測
超高強度・超高耐久(UHSC)コンクリートは自己収縮・水和熱によりひび割れが生じやすくなります.UHSCは,超高耐久を目指すがゆえに,通常のコンクリートに比べてひび割れのもつ意味は極めて大きく,その制御は大きな課題となっています.本研究は,硬化過程にあるクリープ特性の把握による,膨張機能を持たせ,かつ内部養生したUHSCのひび割れ制御効果の解明と発生応力のクリープ解析を目的としています.
3.超長寿命コンクリートによる耐久性向上に関する研究
中国地方山間部においても凍結防止剤が多量に使用され,新設構造物の鉄筋腐食に対する対策が喫緊の問題となっています.本研究は超緻密化されたコンクリートのひび割れ抵抗性,塩分の浸透性,塩分浸透に対するひび割れの影響を実験的に解明し,さらにひび割れ部,非ひび割れ部の塩分移動解析に基づく耐久性設計法の開発を目的としています.
1.多孔性セラミックによる内部養生方法の開発とひび割れ抵抗性向上評価
超高強度・超高耐久(UHSC)コンクリートの水和に伴う自己収縮,廃棄資源である高炉スラグ微粉末,石炭灰を用いたコンクリートの自己収縮・強度発現遅延,によるひび割れが耐久性低下の点から大きな問題となっています.高強度で吸水率の高い多孔性セラミックに着目し,それを骨材の一部に用いることによるひび割れ抵抗性向上メカニズムの解明を目的としています.
2.コンクリート構造物の環境負荷評価に関する研究
コンクリート構造物のライフサイクルの中で,環境に負荷を及ぼしている要因,環境負荷低減に寄与している要因を抽出し,種々の環境負荷要因を総合的に統合化して評価し,環境負荷低減の定量的な実施を可能とする方策について検討を行っています.
1.鉄筋腐食した鉄筋コンクリートはりの挙動解明と安全性評価に関する研究
鉄筋腐食した鉄筋コンクリート(RC)構造物の安全性評価は,適切な維持管理を行ううえでも大きな課題となっています.しかし,鉄筋腐食したRC構造物の残存強度は明らかになっていません.本研究は,規準どおりに設計されたRCはりの,特に急激に破壊するせん断強度について,腐食の程度と腐食位置の観点から実験的に研究し,さらに残存強度の予測のために3次元有限要素法の開発を目的としています.
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2.塩害と永久荷重の相互作用を受ける鉄筋コンクリートはりの経年劣化機構の解明
実構造物における劣化は,自重等の永久荷重作用による力学的損傷蓄積,損傷蓄積による劣化因子浸入の促進,劣化因子浸入による腐食促進,腐食促進による力学性能低下のように,力学特性と耐久性低下は密接な関係がありますが,この種の研究はほとんどなく,その経年劣化機構は不明です.本研究は,永久荷重の大きさ,かぶりを主要因とするRCはりに塩水噴霧を行うことにより,この劣化機構を解明することを目的としています.
3.鉄筋腐食したRCの補修後の再腐食機構の解明と新補修方法に関する研究
塩分により鉄筋腐食した部分を補修したRCにおける再腐食が大きな問題となっています.その理由として旧コンクリート―補修部の塩分濃度差,旧コンクリート―補修部境界面のひび割れがありますが,いまだ再腐食機構は解明されていません.本研究では補修材料の比抵抗(腐食因子の移動抵抗性)の観点からの再腐食機構の解明と最適補修材料の評価を行います.
4.RC部材ひび割れ部の物質移動と腐食発生・進行メカニズムの解明
RCに生じるひび割れは,鉄筋腐食因子の侵入を誘発するため,その制御は重要な課題となっていますが,そのひび割れによる腐食機構は解明されていません.そこで,水分侵入,ひび割れ部含水率,鉄筋腐食電流を直接測定することにより鉄筋腐食機構解明を図ります.併せて水分侵入,鉄筋腐食の予測式の構築を目的としています.
5.外的な劣化因子の作用を考慮したコンクリート内部の物質移動のモデル化
塩害,炭酸化,化学的侵食など,コンクリートは外的な作用によって劣化を受けやすい材料です.これらの劣化因子が外部からコンクリートに作用したときの,内部における様々な変化を忠実にモデル化することを目指します.
6.コンクリートの硫酸抵抗性に関する研究
下水道関連施設等においてコンクリートの硫酸劣化が顕在化しています.また,その対策として,耐酸性材料の開発も進められています.コンクリートの硫酸劣化のメカニズムを明らかにすることによって,耐酸性を高めるために必要な材料特性を明らかとします.
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7.コンクリートからの重金属溶出の長期予測に関する研究
産業副産物をコンクリート用材料として有効利用するとき,産業副産物に含まれる重金属が長期的にはコンクリートから溶出する懸念があります.コンクリート中における重金属の存在形態,挙動について,実験的に検討を行います.
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